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更新日:2022年7月29日
ワラ綱を綱引きのように引き合うのではなく、一方が前進するともう一方は後退する。紙面をかぶっている「先払い」のカマの振りにあわせて力士たちは掛け声を出す。「シシ」が登場し、カマで綱を切断する。力士は綱を急いで結び直す。これを計三回切って二回結ぶ。最後は切断された綱の一方を力士たちが運び出して土俵の俵として埋める。
これから続く土俵上のすべての行事が無事にすすめられるよう、厄を払う踊り。手首を自由に動かし、巧みにカマを操って、土俵の砂をも跳ね上げんとする草を刈るような低姿勢から、立ち踊りで中空や頭上を祓う所作などは、まさに厄を払うに相応しい表現である。
米の豊作で喜びに満ちている農夫をパントマイムで無言劇風に表現する。肩に運搬具の刺し棒を担ぎ、手に木製のカマを持って入場し、格好はかつての農民の姿を彷彿させる。米作りの経験がある人でないと細かな動きに実感が伴わず、豊年踊りの演目で所作が一番難しいとされている。
稲穂の刈り取りが終わったあとの脱穀がテーマ。米と籾殻をより分ける様子を人間が脱穀道具そのものに扮して表現している。サンバラ(竹製のザル)を持っている女性は、こぼれ落ちた玄米と籾を器用にふるっている。この演目の演者はすべて女性である。
力士の肘を杵に、土俵を臼に見立てて玄米を精白する様を表現したもの。背景で流れている急テンポの「六調」の合間には指笛のハトもにぎやかに響き、激しく力強い力士の動きを盛り上げる。人間の肉体と舞台空間そのものを農具に見立てるという他地域に類例がない演目である。
サンバラ(竹製のザル)に力飯を入れ、肩に抱えて入場してきた女性たちが収穫の喜びを表すように踊った後、腰掛けている力士に手渡す。サンバラを受け取り土俵でそれを掲げて踊る。そして力士達は両手に力飯を持ち、土俵中央に一斉につめより両手の力飯を高く掲げる。
収穫・脱穀・精米の課程を経て、食せることの喜びを躍動的に表現した演目である。
白髭の翁、弁当持ち、長鎌持ちの三名が紙面をかぶって登場する、曲とセリフがひとつもない無言劇。ゆっくりと土俵のあたりを見回す仕草で歩いていく翁たち。そこに、いたずら好きの長鎌持ちが登場しちょっかいを出す。この演目の意味については、「今年も豊作で、盛んに祭りごとをやっていることを確かめるために見回っているのだ」という解釈がある。
玉露カナは美しい女性だが、遊び好きで唄を楽しんでいる親不孝者とされる。玉露カナが優雅に踊っていると、暴れ回るシシが接近してくる。そこに危険を察知した長鎌持ちが勇気を持ってシシと向き合い、持っている長鎌で退治する様子を表している。
盲目の座頭が、大好きな祭りを見に行こうと杖を頼りに一人で出かける。途中、川に石を投げて深さを計ろうとしたり、川を越え、持ってきた酒を飲んで上機嫌になったり、お腹をこわして便意をもよおしてきたり、その目的地に向かう道中がユニークに演じられる。
最後のフィナーレ。集落民が一列になって入場する。列が土俵を囲んだあたりで、オーコ(担い棒)に吊したスヘェガムェ(焼酎瓶)を担いだ力士二名が土俵にあがり、それを上げ下げして各方向から見えるように回る。これは「みんなで飲んでいた焼酎の瓶は、もう飲み干しましたよ」との意味であるらしい。その後、「八月踊り」が始まる。
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